いきなりですが仕事で誰かを指導したことがありますか?
雇用形態の違いはあるでしょうが、一から仕事を教えていくのはものすごく労力を使いますよね。
私は以前、アパレル業界で接客も未経験の部下5人を、強みを生かし結果の出せる店舗に持ち上げました。
半年で戦力にする為に行ったマネジメント方法などを書こうと思います。
まずは話を聞く
ここからは血となり肉とした私のマネジメント手法を連ねます。
そんなこと知っとるわい!という方はアドラーや渋沢栄一を宜しければお読みになってください。
さて、あなたは今仕事で責任ある立場にあるとしましょう。
会社から月の予算を組まれ、その達成の為にチームを動かしていかなきゃならない。
他の営業所や店舗、競合企業は先月もその前も好業績を叩き出し、自分には常にプレッシャーがかかっている。
あるいは、あなたがクラブ活動や何かのリーダーだとしましょう。家族も一つのチームですね。
メンバーが生き生きと活動できるよう、日頃から目配りするのがあなたの役目。
だけど最近話をしてくれないメンバーが居る。話しかけても反応が薄く何を考えて居るのか解らない。
あなたはチームの士気や団結力が失われていくのを恐れている。
結論から言うと、最初にしなきゃならないのはメンバー一人一人と話をすること。
その為に少しでも時間を作るということです。
上から予算が来ました。はい、なのであなたの今月の目標は¥〇〇です。先月も達成できなかったよね?今月は頼むよ!
これではダメ。
そのメンバーは今月も予算を達成できず、あなたの営業所は再び肩身の狭い想いをすることになるでしょう。
あなたがそのメンバーの上司だとしたら、仕事を放棄してるようなものです。
つまり給○泥棒。
いいですか?
部下は上司が思っている以上に上司のことをよく理解しているものです。
(この人に言ってもムダだな)
そう部下に思われてしまったら上司はオシマイなのですよ。
子育てと同じです。
しかしそれは上司であるあなたが、知ってか知らずか話してもムダだと思わせる行動をしたからです。
部下に責任はないのです。
マネジメントする立場にある人は、責任という職責が給料に反映されています。
部下があなたに何も言わないのはあなたのマネジメント法に改善の余地がある、ということになります。
日々の仕事を見る
ではどのようにメンバーから話を聞き出せば良いのでしょうか?
一番ナチュラルな方法は、日々の仕事の合間に「最近どう?」と声をかけること。
皆さんこれ、出来てます?
部下や家族のこと、ちゃんと目に入ってますか?
自分のことしか頭にない、なんてことになってませんか?
部下の仕事ぶりを把握出来ていないとしたら、あなたは残念ながら給○泥棒です。
部下やメンバーの取組みすら把握しないで、どんな話ができるのでしょうか?
あなたが成し遂げなきゃならないのは、チーム目標を達成させることです。
上からの圧や他の店舗に振り回されている場合ではありません。
率いるメンバーの能力をフルに発揮させ、チーム内での相乗効果を生めば目標などすぐにクリアします。
なのでまずは、メンバーの素質を理解し生かすことから始めること。
得意な商材、メンバーが好きそうな年齢層、どんな時にテンションが上がるのか、プライドをどの部分に持っているか、普段から大切にしている価値観は何か、好きな食べ物は何か、趣味は何か、何故この仕事を選んだのかなど。
部下は皆同じ人間ではありません。
なので比べることはナンセンスです。
おじいちゃんおばあちゃんが好きな人もいれば、子供が好きな人もいる。
勤務先への通いやすさを重視する人もいれば、お給料を重視する人もいる。
夢を持っている人もいれば、とりあえず食べていく為に働いている人もいる。
それに対していいだの悪いだのと口を挟むのは、出過ぎた行為というもの。上司であれ誰であれ。
メンバーの言動を普段からちゃんと見ること。
そしてチームの為にしてくれていたことがあったら、仕事が終わる5分前に本人だけに伝えましょう。
何の手間もないことです。
助かったよ、の一言で終わります。
これだけでこのメンバーはいつもより気持ちよく仕事を終えることでしょう。
ここで大切なことをお伝えしますが、これはテクニックとかそういう一部を切り取った話ではありません。
人間はそこまでバカでもありません。
言霊という言葉があるように、言葉には心が反映されます。
店舗であれ何処であれ、お客さんというのは大変鋭いです。言葉の後ろにあるものなんて簡単に見透かしてしまいます。
ですのでメンバーに声をかけたとしても、それが上から言われてしていることなのか、上司の本心からの言葉なのかなんてことは簡単に見破っています。
本やネットに散らばっているテクニックをかき集めたところで、それは切り取った断片に過ぎないのです。
上司のあなたがするべきことはたった一つ。
その人を知って理解し、長所を生かすことです。
話しやすい上司に情報は集まる
もし部下やメンバーの好みを聞き、問答無用で自分の意見を浴びせてしまったことがあるなら、あなたは今後2度とメンバーから心を開かれることはないでしょう。
あなたにもあるでしょう。
好きなもの、大切にしているものを話す相手は、少なくとも気の許せる人じゃありませんか?
大切にしていることと言うのは簡単に人に言いたくないことでもあるのです。
だからあなたは、部下やメンバーが進んで自分の話をしてくるぐらい、上司としての器を広げておく必要があるのです。
上司の器とは見守って許し、一緒に考えるということです。
話と言ってもプライベートなことや恋愛話ではありません。
仕事をする上でメンバーが感じていること、例えば改善した方がいいと思っている部分、もっと仕事がしやすくなるアイデアなどを積極的に提案してもらえるようにするのです。
膨大な時間を仕事に当てているのですから、色んなことに気付くし、様々な声も聞くでしょう。
それをこちらがさりげなく教えてもらい、少しずつ業務に取り入れる。
意見を取り入れてもらったメンバーは、チームやお店に対して求心力を高めてくれるようになります。
成果が出た時はしっかり数字に出し、メンバーが行ったアクションをサクセス要因として掲示しましょう。
「〇〇さんの提案したアクションのおかげで、〇〇%コンバージョンがUPしました!」
と数字に絡めて毎月掲示する。売上などざっくりした数字ではダメです。
客単価(AT)やコンバージョン率、トラフィックなど売上の要素を分割し、アクションが貢献した数字の指標を掲げます。
それにより接客が上手い人はATが、コンバージョンUPに貢献出来る人は全体を見回せかつ掛け持ちが出来る、トラフィックを促せる人は活気作りが上手い、などそれぞれの強みを数字として掛け合わせられるのです。
ここまで来るとようやく仕事が楽しくなってきます。
メンバーが自分の強みを把握できているので、メンバー同志バランスを取って数字を出せるようになります。上司やリーダーは後方から見ていればいいという状態に。。
そうやって結果を出してくれるようになると、感慨深いものを感じるようになりますよ^^ そして感謝の気持ちも湧いてきます。
つまり上司の仕事は、メンバーの力を発揮できる場所を作ること。
自分のことばかり考えているうちは、あなたのチームが成果を出すことは難しいでしょう。
部下を信頼し任せること。失敗した時は上司のあなたが全部引き受けること。
それが管理職の仕事です。
この気持ちでドン!と構えていることです。
あなたの上司も、あなたの失敗はきっと全て受け止めてくれることでしょう。
権限移譲するほど、人は伸びます。
これらは私がある外資の日本法人スタート当初から、仕事の中で学び、上司に聞き、本を何冊も購入し読んで実践に生かしながら身に付けてきたことです。
ちょっと小耳に挟んだだけのコミュニケーション術など、私はメッキだと思っています。時間が経てばそんなものは剥がれてしまいます。
終わりにもう一度、大切なことをお伝えします。
上司がすべきことは一つ。その人を理解し、長所を生かすことです。